みゃあだいでっせ!(名古屋大学工学部編入体験記)
令和4年度(実施年度)名古屋大学工学部高専編入学試験を受験し,ただただ自校の恥を晒して「勇気ある知識人」になれなかった一高専生の体験記を以下に記す.なお,当人は名古屋大学,京都大学に落ち,結果として専攻科に転がりこんだ人物なので,是非これを参考にせず勉学にいそしんでいただきたい.
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「勇気ある知識人」: 名古屋大学の人材育成の目標として掲げられているもので,一般的な大学入試の書類送付封筒に印刷されていることでよく知られている.なぜか?インターネット上でコケにされ,Tシャツが作られるほどとなっている.かわいそうに.
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中の人の詳細なステータスや諸々の所感は
高専編入学試験玉砕特攻ルポ(総括編) - こちら魚住町駅当直です
に記載してあるので,そちらを参照されたい.
1. 簡単なステータス
- 土木工学科所属
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TOEIC: 730
- TOEFL: 64(R9,L10,S21,W24)
- 席次: 1~2年 10番前後,3~4年 3位(ランク制に移行した為推測値)
- 中小企業診断士,旅行業務取扱管理者資格,原動機付自転車運転免許,小型特殊自動車運転免許
- 数理系科目が苦手です(なぜ高専に?)
- 受験校: 名古屋(不合格),京都(不合格),所属高専専攻科(合格)
2. 志望動機
- 本命の京都大学の練習台として丁度よかった(科目,難易度)
- 志望研究室(計画系)の研究内容,教員の思想が自分とマッチしていた
- 学校の規模感がこじんまりとしていること
- 大学院支援が充実していること(コラ画像みたいな学長ポスター?)
- 「つボイノリオの聞けば聞く程」がリアルタイムで聴けるから
3. 試験対策
怠惰な人間なので大したことはしていません.過去問をバサッと見た感じ,全科目共に典型問題が多い印象を受けました.
数学: 徹底研究,過去問特訓,細野真宏の確率が本当によくわかる本(対確率理解)
物理: 弱点克服シリーズ(力学,電磁気学) のみ
化学: 化学の新研究,化学の新演習,大学への橋渡し-一般化学,有機化学(大学_一般化学は熱力学関連の理解に大いに役立ちました)
面接対策: PEL-水理学,構造力学,森北出版-地盤工学,計画学-授業スライド
編入の意思は入学当初からありましたが,実際に勉強しだしたのは5年生に入ってからという体たらく.しかも大して勉強していないので落ちて当然という有様でした・・・.面接対策に至っては筆記試験終了後に詰め込むというやる気のなさ.大して練習していません(喋ることは好きなので,教員に練習役をやってもらうこともしてません.一人でブツブツ言う方が楽なので(笑))
また,所属校には名古屋大学に関する情報が一切なかったので,teamsで適当な豊田高専の方にDMを送りつけ,面接内容等々の情報を仕入れました.(運よく同じ名大志望の方にありつけました・・・あの時は本当にありがとうございました)
ちなみに仕入れ情報によると,例年面接では
- 志望動機
- 併願校と順位
- 土木を志したきっかけ
- 専門科目で得意なもの
- 行きたい研究室
- 学びたいこと
- 卒研
を聞かれていて,口頭試問に関しては,
などと,学校の授業を復習すれば問題ないレベルだそう(氏談)
4. 試験本番ルポ
期末試験を受けた後,特急と新幹線を乗り継ぎ,夕刻には名古屋に到着.その足で,名古屋名物の「味噌カツ」を食し,名古屋の味噌文化を知らしめられました(笑)
その後,地下鉄に乗り早数分の地下鉄今池駅から徒歩数分の「ルートイン名古屋今池駅前」にキャンプ地を構えました.汗を流した後,軽く筆記内容を確認し,床に就きました.割とすんなりと眠りに入った記憶があります.
(ちなみに当該ホテルにて,数名高専生らしき人を観測しました)
試験当日,会場に20分前くらいに着くように向かいました.名古屋大学は国立大学としては珍しく好アクセスなので,あまり汗をかくことなく学校にたどり着けます.
試験会場は他学科と合同の会場で,全体で70名ほど,土木に関しては6名(豊田3,四国方面1,東北方面1,自分)でした.服装に関しては,概ねスラックス+半袖カッターが6割,私服と背広が2割づつという感じでした.(しっかりとネクタイ締めれないならつけない方がいいのに・・・)
空席は少なかったです.やはり第一志望にしている人が多いのでしょう.ちなみに数学終了後,体調不良?のためか試験を棄権した方が1名いました.
全体を見まわした感じ,他の受験生が用いてた参考書は,数学に関しては「徹底研究」「過去問特訓」「教科書」がほとんどで,物理は「弱点克服シリーズ」「サイエンス社の参考書シリーズ(黄色表紙)」が拮抗し,化学に関しては多種多様といった感じでした.
さて,本題の試験内容についてですが,具体的な内容に関しては過去問を取り寄せてもらうことに前提に・・・
数学は1問目で編入数学で登場することがないと思われていた,三角形の角度の問題が出てきました(ベクトルを使って解く問題).行列に関しては過去問特訓の例題と同じ問題,微分方程式(オイラー形),確率に関してはややこしいながらもなんとなく解ける問題でした.解答用紙に関しては,白紙に自由記述形式でした.全体的に自信はありません・・・.
物理は力学,電磁気それぞれ2問づつの出題でした.力学1は基礎的な問題(値を代入しなければならないのが面倒),力学2は久しぶりの剛体問題(ノーマークだったので適当に・・・),電磁気学1は弱点克服シリーズに掲載されているものでした(tanを活用),電磁気学2は初見の問題でしたが,なんとなく解けたという感じでしょうか.解答用紙は,枠が設けられていて,式をズラズラ書くことを想定してなさそうな雰囲気でした.また,全体的に値を代入せよ(ルート2は1.41とするみたいな感じで値が与えられる)の問題が多いので,間違いに気づきやすい問題設計がされていました.力学1,電磁気学1・2は自信がありますが,力学2に関してはノーマークだったので自信0です.
化学は,基礎事項を問われる(炭素云々・・・)内容ばかりで,化学嫌いの私でも結構得点できたような印象です.ギブズエネルギーの計算が少々面倒でしたが,「大学への橋渡し-一般化学」で演習していたので,スラスラと解けました.
試験終了後は,そそくさと学校を後にし,宿の近くにある町中華で食事を取りました.19時から23時までWOWOWを観ながら,一人でブツブツと面接練習をしました.(ちなみに宿の近くはどうやら風俗街だったらしく,宿のEVには連れ込み利用を禁止する貼り紙がありました(笑))
2日目,こちらも20分前に着くように向かいました.ただ筆記試験会場と異なり,土木の面接会場は少々離れた場所にあるので要注意です.あと,前日と異なり建物に年季が入ったものでガッカリしたのは内緒.面接控室に集合したのち,1名づつ移動させられる形式でした.大体他の受験生は,各々が用意したカンペ集や,学校の専門の教科書を見て時間を過ごしていました.
いよいよ,お待ちかねの面接・・・という事で階上の会議室に移動し,入室しました.試験官は4人でした.面接内容は,
- 志望動機
- 併願校
- 博士課程行きたいって言ってたけど,その後したいことは?
- 何故土木を志したのか(ドイツにいたことを言ったらざわついていたのは内緒)
- 研究以外で大学でしたいことは?
定型質問に関しては,割といい反応をもらえたかな?という印象.なお,ここからの口頭試問で地獄を見ることとなる・・・.
- 得意科目は何?(思い付きで計画と土質と言ってしまう)
- 線形解析わかる?(授業では扱ってないので・・・,弊学の計画学は社会科学よりの内容だったし)
- 費用便益分析は?
- 便益ってどうやって金額出すの?(経済効果?)
- 計画学にはどういう解析手法がある?
- 重回帰分析は?
- 土質について,テルツァーギの式の大事な要素(うっかり忘れて赤っ恥)
- 液性限界とは
フォローはなし,詰問されていたような印象で,ああ学校の恥さらしと言われても過言じゃないなという恥辱的な雰囲気を味わっていました.終わった後は不合格を確信し,「ああもう少しやっとけばな」と後悔しつつ,寄り道をせずに,明日の期末試験の内容を確認しながら帰路につきました・・・.
5. 所感
結果としては,お察しのとおり落ちました.そりゃボンクラだもんね.合格者は全員豊田高専生だそう.流石中京圏の名門高専と言われているだけありますね.ただ,試験内容を見る限り,基礎を抑えて,演習を重ねていれば解ける問題が大半だったので,他の難関大学と比較すればそこまでハードルは高くないはず.あと,最後に「得意科目は?と聞かれたら,好きな科目じゃなくて答えやすい科目を答えような!」おじさんとの約束だよ?個人的には水理学と材料が割と的を絞りやすそうなので,おススメです.
名古屋大学はその保守的な地域柄というのもあって,中京圏以外からの進学実績が乏しく,情報が少ないという難点がありましたが,この投稿で(土木に関しては)その溝を埋められたかな?と思います.後進の皆さんにおかれましては,是非入念に対策を取り,このボンクラの仇を取ってほしいなと思わんばかりです.
名古屋大学は,ご丁重に坪量114kgの上質紙を使用した,公印押印,文書管理番号を付番した不合格通知書を送付してくれるので,とてもいい大学です.しかも,文書管理番号がレーザー印刷ではなく,プランジャー式で印字されているのがもうたまらない・・・!
大変律儀であるとともに,文書社会であることがひしひしと伝わってきます・・・.感動しました.封を切った時,「落ちたけど,こんな素敵なものが貰えるなんて・・・受けてよかった!名古屋大学ありがとう!」そんな感情が沸き上がってきましたね.
(終)
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(2022.11.25: 一部箇所訂正,諸画像を追加)